たった一人の決意が歴史を変えた。
張学良、そのとき35歳。
二・二六事件が起きた1936年。中国の古都、西安近郊で、国民政府最高指導者、蔣介石に張学良の軍が叛旗を翻すクーデターが発生。蔣介石の命は絶望視され、日米の記者たちは特ダネを求め、真相に迫ろうとする。
日本では陸軍参謀本部という秘密の匣の中で石原莞爾が情報を操っており、西安事件の軍事法廷では、張学良は首謀者ではないとする証言がなされた。
日本と中国の運命を変えた2つの兵乱にはいかなるつながりがあったのか。現代中国の起点となった事件の現場に起つ救世主は誰か。
- ジェームス・リー・ターナー
- ニューヨーク・タイムズ社員。中国語通訳兼翻訳者。
- 志津邦陽しづ くにあき
- 陸軍歩兵大尉。上海特務機関員。
- 村中孝次むらなか たかじ
- 元陸軍歩兵大尉。
- 石原莞爾いしわら かんじ
- 陸軍参謀本部戦争指導課長。
- 北村修治きたむら しゅうじ
- 朝日新聞記者。
- 蔣介石ジャン ジエシイ
- 中華民国国民政府最高指導者。
- 張学良チャン シュエリャン
- 張作霖の長男。剿共戦副司令。
- 周恩来ジョウ エンライ
- 中国共産党幹部。
- 陳一豆チェン イードウ
- 張作霖、張学良の護衛官。元北京の床屋。
| 年 |
物語と中国の出来事 |
日本の出来事 |
| 1936年 |
蔣介石、西安で拉致監禁される 張学良、軍事裁判の被告となる |
二・二六事件 |
兵諫
1936年。東京で二・二六事件の動揺も収まらないころ、世界に衝撃が走る。「西安で張学良が蔣介石の身柄を拘束した」。張学良の目的は。蔣介石の安否は。取材を進める朝日新聞の北村に陸軍大尉の志津は、天命の証、龍玉の話を始める――。
壮大なスケールで日中の近現代史を描く「蒼穹の昴」シリーズ第六部。
解説:保阪正康
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