すべてはここから始まった。
極貧の少年・春児の姿に
生き抜くことの尊さを見る傑作。
「汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう」―― 中国清朝末期、貧しい糞拾いの少年、李春雲(リイ チュンユン)(春児(チュンル))は、老占い師、白太太(パイタイタイ)にこう予言を受ける。飢えに苦しみながら、春児はこの予言を希望に上京を決意する。
同じ村の地主の息子、梁文秀(リアン ウェンシウ)は科挙試験を受けるため北京へ向かう。身分は違うがおさないころから兄とも慕う文秀を頼り、春児は都へと上った。
文秀は気の遠くなるような倍率の科挙試験に挑み、春児は自らの生きる道をさがしてある決断を下す。やがて、混迷する清王朝の中枢に、それぞれの形でかかわるようになる二人を待ち受ける宿命とは。
- 李春雲(春児)リイ チュンユン(チュンル)
- 貧民の子。
- 梁文秀リアン ウェンシウ
- 梁家屯の地主の息子。
- 玲玲リンリン
- 春児の妹。
- 西太后慈禧シータイホウ ツーシー
- 第九代皇帝咸豊帝の側室。
清朝末期に皇帝にかわり政を行う。
- 光緒帝載湉ツァイテン
- 西太后の甥。第十一代皇帝。
- 岡圭之介おか けいのすけ
- 万朝報の中国特派員。
- トーマス・バートン
- ニューヨーク・タイムズ記者。
- 白太太パイタイタイ
- 梁家屯の占い師。
年 |
物語と中国の出来事 |
日本の出来事 |
1886年 |
梁文秀と李春雲(春児)、北京へ上る |
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1889年 |
春児、宦官として入廷する |
大日本帝国憲法発布 |
1890年 |
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第一回衆議院議員総選挙 |
1894年 |
日清戦争開戦 |
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1895年 |
日清戦争終わり、下関条約調印される |
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1898年 |
戊戌の政変 西太后暗殺未遂事件 袁世凱暗殺未遂事件 |
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1900年 |
義和団の乱 珍妃死去 |
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1901年 |
張学良生まれる |
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蒼穹の昴 1
極貧の少年に与えられた途方もない予言 そこに「希望」が生まれた
魂をうつベストセラー大作待望の文庫化!
汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう――中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつベストセラー大作!
もう引き返すことはできない。春児は荷台に仰向いたまま唇を嚙んだ。満月に照らし上げられた夜空は明るく、星は少なかった。「昴は、どこにあるの――」誰に訊ねるともなく、春児は口ずさんだ。声はシャボンのような形になって浮き上がり、夜空に吸いこまれて行った。途方に昏(く)れ、荒野にただひとり寝転んでいるような気分だった。「あまた星々を統べる、昴の星か……さて、どこにあるものやら」老人は放心した春児を宥(なだ)めるように、静かに胡弓を弾き、細い、消え入りそうな声で唄った。――〈本文より〉
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蒼穹の昴 2
若きエリートが志す新しい時代 その前に「試練」が立ちはだかる
一気読み必至の歴史的傑作!
官吏となり政治の中枢へと進んだ文秀(ウェンシウ)。一方の春児(チュンル)は、宦官として後宮へ仕官する機会を待ちながら、鍛錬の日々を過ごしていた。この時、大清国に君臨していた西太后(シータイホウ)は、観劇と飽食とに明けくれながらも、人知れず国の行く末を憂えていた。権力を巡る人々の思いは、やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。
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蒼穹の昴 3
慈悲深き女帝が護る旧世の栄華 憂国の「熱情」は奔流となってほとばしる
疾風怒濤の面白さ。物語はいよいよ佳境へ!
落日の清国分割を狙う列強諸外国に、勇将・李鴻章(リイホンチャン)が知略をもって立ち向かう。だが、かつて栄華を誇った王朝の崩壊は誰の目にも明らかだった。権力闘争の渦巻く王宮で恐るべき暗殺計画が実行に移され、西太后(シータイホウ)の側近となった春児(チュンル)と、改革派の俊英・文秀(ウェンシウ)は、互いの立場を違(たが)えたまま時代の激流に飲み込まれる。
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蒼穹の昴 4
運命に立ち向かい生きる道を切り拓くすべての夢見る人に捧げる「賛歌」
読めば勇気が湧いてくる感動巨編完結!
人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか――紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。天下を覆さんとする策謀が、春児(チュンル)を、文秀(ウェンシウ)を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。感動巨編ここに完結!
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