1928年 | 佐藤さとるさん誕生 |
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1959年 | ||
1962年 | ||
1965年 | ||
1971年 | ||
1972年 | 有川浩さん誕生 |
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1983年 | ||
1987年 | ||
2004年 | 『塩の街』で 有川浩さんデビュー |
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2006年 | 『図書館戦争』シリーズ刊行開始 |
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2010年 | 文庫復刊開始 |
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2011年 | 有川さん『豆つぶほどの小さないぬ』の解説を担当 |
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2014年 | 有川浩・作 村上勉・絵の『コロボックル絵物語』刊行 |
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そして次は長編の「有川版・コロボックル物語」へ──
「コロボックル物語」は、
第1巻の『だれも知らない小さな国』が
1959年に私家版として刊行されました。
その私家版は同年講談社から
若菜珪さんの挿画によって刊行され、
1965年に刊行された3巻目から
村上勉さんとのタッグに代わります。
こうして佐藤さとるさん作、村上勉さん絵による
このシリーズは、大人気となり、
1987年までに6冊の作品を刊行して
児童書の単行本、青い鳥文庫、
そして講談社文庫の3種類となりました。
しかし、いつの間にか、大人向けといえる
講談社文庫版は絶版になっていました。
年を経て、2010年の秋。
名作が絶版になっているなんて! と
講談社文庫版の復刊が始まります。
第1巻の解説を書いてくださったのが梨木香歩さん。
そして2巻目『豆つぶほどの小さないぬ』の
解説を書いてくださったのが、
有川浩さんでした。
小さいころからコロボックル物語の大ファンで、
「佐藤さとるさんがいたから作家になった」
と公言していた有川さん。
片や佐藤さとるさんは、有川さんの作品を読んで
ファンになっていました。
そこで、てファン同士の対談が実現したのです。
2011年7月6日。暑い夏の日のことでした。
椿の木の陰に、フキの葉が青々と茂り、
まるでコロボックル小国そのもののような、
佐藤さとるさんの自宅に、有川さんが訪れます。
そこで佐藤さとるさんは、
有川さんにこんな言葉をかけられました。
「ぼくはこの物語の続きを
誰でも禁則さえ守れば書けるように
オープンエンドにした。でも誰も書いてくれない。
有川さん、書いてみたら?」
それは、コロボックルたちが見守る中で手渡された、
バトンのようでした。
1987年から
27年を経て、
いま、「コロボックル物語」の新刊が発売されます。
それは、名作を読み継ぎ、書き継ぐという
奇跡の瞬間──。
そして、奇跡のスタートなのです。
佐藤 さとる(さとう・さとる)
1928年、神奈川県横須賀生まれ。旧制工専卒業後、市役所勤務を経て、実業之日本社にて編集の仕事を行う。'50年、神戸淳吉、長崎源之助らと同人誌「豆の木」を創刊する。'59年、『だれも知らない小さな国』を自費出版し、その後講談社から刊行。同年、毎日出版文化賞、'60年には日本児童文学者協会新人賞、国際アンデルセン賞国内賞をそれぞれ受賞。'67年、『おばあさんのひこうき』で厚生大臣賞・野間児童文芸賞受賞。著書は多数。コロボックルシリーズとして『豆つぶほどの小さないぬ』『星からおちた小さな人』『ふしぎな目をした男の子』『小さな国のつづきの話』『小さな人のむかしの話』、ほかに『てのひら島はどこにある』『天狗童子』など。
村上 勉(むらかみ・つとむ)
1943年、兵庫県生まれ。'65年佐藤さとる作のコロボックル物語の挿絵でデビュー。コロボックルシリーズすべての挿絵を担当。挿絵、絵本、装丁など、出版美術界と深く関わってきた。主な作品に『おばあさんのひこうき』(小学館絵画賞受賞)、『おおきなきがほしい』『きつね三吉』ほか多数。有川浩氏との初めてのコラボレート作品『絵本旅猫リポート』も刊行した。
「コロボックルを書くのは、2年前で終わりだと思っていたのに、前言撤回です」
――有川浩さんと村上勉さんとの「コロボックル物語」がいよいよスタートしましたね。
有川さんが佐藤さとるのコロボックルを書き継ぐという話が出たのが2011年の夏でしょう。最初にその話を聞いたときは「嘘でしょう」って思ったんですよ。それはあの売れっ子の有川さんが書き継いでくれるなんてあるのか、という意味と、佐藤さとるがほかの人に書き継ぐことを許すなんてあるのか、という意味と、両方でした。佐藤さとるは頑固なんですよ(笑)。でも実際に「IN☆POCKET」での対談を読みましてね、ああ、これは佐藤さとるも本気だなと確信したわけです。実際に有川さんの本を読んで惚れ込んで、有川さんなら書けるし、書いてほしいと思って言っている。長年一緒にやってきたぼくには、よくわかりました。本当に驚きました。
実はぼくは講談社文庫で「コロボックル物語」が復刊の決まった2010年の秋に、「これでコロボックルを描くのはもう終わり」なんて言っていたわけですよね(笑)。でも有川さんからも自分が原稿を書く際には挿絵を描いてほしいと言ってもらえて、ぼくだってぼく以外はコロボックルを描けないだろうと持っているから、完全に前言撤回しました(笑)。
有川 浩(ありかわ・ひろ)
撮影 小川みき
1972年、高知県生まれ。2004年、第10回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作『塩の街』でデビュー。同作にはじまる自衛隊3部作『空の中』『海の底』、「図書館戦争」シリーズをはじめ『阪急電車』『県庁おもてなし課』『空飛ぶ広報室』『三匹のおっさん』『旅猫リポート』など著書多数。映像化された作品も多く、幅広い世代から支持を集めている。また'12年、キャラメルボックスのクリスマスツアー『キャロリング』の原案・原作、俳優の阿部丈二と演劇ユニット〈スカイロケット〉を結成し、『旅猫リポート』『ヒア・カムズ・ザ・サン』の舞台化を自ら手がけるなど、演劇の世界へも挑戦の幅を広げている。
佐藤さんのコロボックルシリーズを読んで作家になったという有川浩さん、有川さんの“一種のファン”だと話す佐藤さん。対談は、“おチャ公の物置研究室”のような書斎で、和やかな雰囲気の中始まった。