コロボックル絵物語

『コロボックル絵物語』

有川浩・作 村上勉・絵 
講談社 定価:本体1200円(税別)

北海道に住む少女ノリコが、お母さんのお墓の近くで出会った「小さな生き物」。
コロボックルの温かな物語の扉が、再び開く――。

300万人が愛したコロボックル物語。
最終巻刊行から27年、
いま有川浩が新たなステップを踏み出す!
村上勉さん全面参加! すべての描き下ろしイラストには、
佐藤版「コロボックル物語」の名シーンも多数セルフリメイク!

読み継がれて55年、コロボックル物語の歩み

1928年

佐藤さとるさん誕生

1959年

コロボックル物語①『だれも知らない小さな国』刊行

  • コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 講談社文庫
  • コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 青い鳥文庫
  • コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 児童文学創作シリーズ

泉が湧き、椿の花が咲く美しい小山に魅了された「ぼく」は、小山に足しげく通ううちに、「小法師さま」の不思議な伝説を聞く。それは、昔から伝わる小山に住む小人の話だった。小学4年生のときに自分に手を振る小人たちを目撃したぼくは、この小山と小人たちを守りたいと強く願う……。「ぼく=せいたかさん」と「おちび先生」との出会いはまさに名場面! 講談社文庫版解説/梨木香歩

1962年

コロボックル物語②『豆つぶほどの小さないぬ』刊行

  • コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ 講談社文庫
  • コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ 青い鳥文庫
  • コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ 児童文学創作シリーズ

せいたかさんがおちび先生と結婚をしてから5年後。「コロボックル小国」は世話役中心に発展を遂げている。コロボックルたちは、風の子=クリノヒコを中心に、「コロボックル通信社」という新聞社を立ち上げることに。その第一報として、コロボックルがかつて飼っていたというマメイヌを発見すべく大活躍! 講談社文庫版解説/有川 浩

1965年

コロボックル物語③『星からおちた小さな人』刊行

  • コロボックル物語3 星からおちた小さな人 講談社文庫
  • コロボックル物語3 星からおちた小さな人 青い鳥文庫
  • コロボックル物語3 星からおちた小さな人 児童文学創作シリーズ

コロボックルが挑戦しているのは、鳥のように空を飛ぶこと。しかしサクランボが開発した羽ばたき式飛行機「オーニソプター」のテスト飛行で、ミツバチ坊やが事故に遭い、人間の少年おチャ公につかまってしまった。覚悟を決めるミツバチ坊や。彼を救うために諦めずに探すコロボックルたち。胸熱くなる冒険譚! 講談社文庫版解説/重松 清

1971年

コロボックル物語④『ふしぎな目をした男の子』刊行

  • コロボックル物語4 ふしぎな目をした男の子 講談社文庫
  • コロボックル物語4 ふしぎな目をした男の子 青い鳥文庫
  • コロボックル物語4 ふしぎな目をした男の子 児童文学創作シリーズ

ミツバチ坊や事件の後、コロボックルの掟が変わった。今まで人間とトモダチになるにはかなりの手続きが必要だったのだが、一人のコロボックルにつき人間一人であれば、"トモダチ"になってもよいというのだ。その掟に猛反発した長老の「ツムジイ」だったが、コロボックルのすばやい動きが「見える」少年タケルに出会い、彼と"トモダチ"になる。年齢差を越えた友情と別れ、そしてT汚れた池の救出劇。 講談社文庫版解説/中島京子

1972年

有川浩さん誕生

1983年

コロボックル物語⑤『小さな国のつづきの話』刊行

  • コロボックル物語5 小さな国のつづきの話 講談社文庫
  • コロボックル物語5 小さな国のつづきの話 青い鳥文庫
  • コロボックル物語5 小さな国のつづきの話 児童文学創作シリーズ

図書館に勤める杉岡正子は、『だれも知らない小さな国』『豆つぶほどの小さないぬ』『星からおちた小さな人』という本に出会う。そして、なんと作者の佐藤さとるに「私が見たのはコロボックルかもしれない」と手紙を書いた。正子の近くには"トモダチ"になりたいと願うコロボックルの少女ツクシンボがいた。せいたかさん一家と正子の関係、コロボックル一族にも新しい驚きの出会いが!コロボックルの世界がさらに広がる完結篇。 講談社文庫版解説/佐藤多佳子

1987年

コロボックル物語⑥『コロボックルむかしむかし』刊行

  • コロボックル物語6 コロボックルむかしむかし 講談社文庫
  • コロボックル物語6 コロボックルむかしむかし 青い鳥文庫
  • コロボックル物語6 コロボックルむかしむかし 児童文学創作シリーズ

せいたかさんがツムジのじいさまに聞いた、コロボックルたちの昔話。一寸法師や桃太郎と思われる「民話」がコロボックルにどのように語り継がれてきたのか……そして最後の長い「手紙」には、知りたかったコロボックルの真実が!『小さな人のむかしの話』を改題した、佐藤さとる版コロボックルの最終巻。連載は1986年7月号~1987年6月号まで、文庫情報誌「IN★POCKET」にてそして有川版コロボックルも「IN★POCKET」にて連載が予定されている。 講談社文庫版解説/上橋菜穂子

2004年

『塩の街』で 有川浩さんデビュー

コロボックル絵物語
2006年

『図書館戦争』シリーズ刊行開始

2010年

文庫復刊開始

2011年

有川さん『豆つぶほどの小さないぬ』の解説を担当

2014年

有川浩・作 村上勉・絵の『コロボックル絵物語』刊行

 

そして次は長編の「有川版・コロボックル物語」へ──

はじまりは、2011年の夏のことでした。

「コロボックル物語」は、
第1巻の『だれも知らない小さな国』
1959年に私家版として刊行されました。
その私家版は同年講談社から
若菜珪さんの挿画によって刊行され、
1965年に刊行された3巻目から
村上勉さんとのタッグに代わります。
こうして佐藤さとるさん作、村上勉さん絵による
このシリーズは、大人気となり、
1987年までに6冊の作品を刊行して
児童書の単行本、青い鳥文庫、
そして講談社文庫の3種類となりました。
しかし、いつの間にか、大人向けといえる
講談社文庫版は絶版になっていました。
年を経て、2010年の秋。
名作が絶版になっているなんて! と
講談社文庫版の復刊が始まります。
第1巻の解説を書いてくださったのが梨木香歩さん。
そして2巻目『豆つぶほどの小さないぬ』
解説を書いてくださったのが、
有川浩さんでした。

小さいころからコロボックル物語の大ファンで、
「佐藤さとるさんがいたから作家になった」
と公言していた有川さん。
片や佐藤さとるさんは、有川さんの作品を読んで
ファンになっていました。
そこで、てファン同士の対談が実現したのです。
2011年7月6日。暑い夏の日のことでした。
椿の木の陰に、フキの葉が青々と茂り、
まるでコロボックル小国そのもののような、
佐藤さとるさんの自宅に、有川さんが訪れます。
そこで佐藤さとるさんは、
有川さんにこんな言葉をかけられました。
「ぼくはこの物語の続きを
誰でも禁則さえ守れば書けるように
オープンエンドにした。でも誰も書いてくれない。
有川さん、書いてみたら?」
それは、コロボックルたちが見守る中で手渡された、
バトンのようでした。
1987年から
27年を経て、
いま、「コロボックル物語」の新刊が発売されます。
それは、名作を読み継ぎ、書き継ぐという
奇跡の瞬間──。
そして、奇跡のスタートなのです。

有川浩さんへの手紙


佐藤 さとる(さとう・さとる)

佐藤 さとる

1928年、神奈川県横須賀生まれ。旧制工専卒業後、市役所勤務を経て、実業之日本社にて編集の仕事を行う。'50年、神戸淳吉、長崎源之助らと同人誌「豆の木」を創刊する。'59年、『だれも知らない小さな国』を自費出版し、その後講談社から刊行。同年、毎日出版文化賞、'60年には日本児童文学者協会新人賞、国際アンデルセン賞国内賞をそれぞれ受賞。'67年、『おばあさんのひこうき』で厚生大臣賞・野間児童文芸賞受賞。著書は多数。コロボックルシリーズとして『豆つぶほどの小さないぬ』『星からおちた小さな人』『ふしぎな目をした男の子』『小さな国のつづきの話』『小さな人のむかしの話』、ほかに『てのひら島はどこにある』『天狗童子』など。

村上勉インタビュー


村上 勉(むらかみ・つとむ)

村上 勉

1943年、兵庫県生まれ。'65年佐藤さとる作のコロボックル物語の挿絵でデビュー。コロボックルシリーズすべての挿絵を担当。挿絵、絵本、装丁など、出版美術界と深く関わってきた。主な作品に『おばあさんのひこうき』(小学館絵画賞受賞)、『おおきなきがほしい』『きつね三吉』ほか多数。有川浩氏との初めてのコラボレート作品『絵本旅猫リポート』も刊行した。

「コロボックルを書くのは、2年前で終わりだと思っていたのに、前言撤回です」

――有川浩さんと村上勉さんとの「コロボックル物語」がいよいよスタートしましたね。

有川さんが佐藤さとるのコロボックルを書き継ぐという話が出たのが2011年の夏でしょう。最初にその話を聞いたときは「嘘でしょう」って思ったんですよ。それはあの売れっ子の有川さんが書き継いでくれるなんてあるのか、という意味と、佐藤さとるがほかの人に書き継ぐことを許すなんてあるのか、という意味と、両方でした。佐藤さとるは頑固なんですよ(笑)。でも実際に「IN☆POCKET」での対談を読みましてね、ああ、これは佐藤さとるも本気だなと確信したわけです。実際に有川さんの本を読んで惚れ込んで、有川さんなら書けるし、書いてほしいと思って言っている。長年一緒にやってきたぼくには、よくわかりました。本当に驚きました。
実はぼくは講談社文庫で「コロボックル物語」が復刊の決まった2010年の秋に、「これでコロボックルを描くのはもう終わり」なんて言っていたわけですよね(笑)。でも有川さんからも自分が原稿を書く際には挿絵を描いてほしいと言ってもらえて、ぼくだってぼく以外はコロボックルを描けないだろうと持っているから、完全に前言撤回しました(笑)。

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有川浩


有川 浩(ありかわ・ひろ)

有川 浩

撮影 小川みき

1972年、高知県生まれ。2004年、第10回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作『塩の街』でデビュー。同作にはじまる自衛隊3部作『空の中』『海の底』、「図書館戦争」シリーズをはじめ『阪急電車』『県庁おもてなし課』『空飛ぶ広報室』『三匹のおっさん』『旅猫リポート』など著書多数。映像化された作品も多く、幅広い世代から支持を集めている。また'12年、キャラメルボックスのクリスマスツアー『キャロリング』の原案・原作、俳優の阿部丈二と演劇ユニット〈スカイロケット〉を結成し、『旅猫リポート』『ヒア・カムズ・ザ・サン』の舞台化を自ら手がけるなど、演劇の世界へも挑戦の幅を広げている。

佐藤さとる×有川浩 対談


佐藤さとる×有川浩 撮影/杉山和行
  • 有川
  • 初めまして、有川浩です。
  • 佐藤
  • こんにちは。あなたの作品読んでますよ。作品の幅の広さったらないね。これは意識しているの? 『海の底』と『図書館戦争』と『阪急電車』、まったく違う。意識して顔を変えたように見せる人もいるけど、あなたの場合、それが自然にできてる。
  • 有川
  • 似たようなものが続かないようには思っているんです。それと私、頭の悪さを武器にしているので(笑)。面白いと思ったものに物怖じせずに飛びつく癖はついてるんです。何にも知らないから面白がれるし、予想外のところに飛んで行ける。
  • 佐藤
  • 無鉄砲のよさってあるね。それは強みでもある。

佐藤さんのコロボックルシリーズを読んで作家になったという有川浩さん、有川さんの“一種のファン”だと話す佐藤さん。対談は、“おチャ公の物置研究室”のような書斎で、和やかな雰囲気の中始まった。

  • 佐藤
  • ぼくは小さい頃から本が大好きで、家にあった『小学生全集』を読んでいたんだよね。『ピーター・パン』のティンカーベルとはまたちょっと違う、もっと気楽につきあえるフェアリーがいたらいいな、なんて思ってた。
  • 有川
  • 妖精ですね。“トモダチ”になれるような。
  • 佐藤
  • そう。後に文学全集を数種類読んだけれど、昔読んだ“童話”の面白さが忘れられなかった。でも当時は児童
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