恋歌
朝井 まかて
720
やりきれない。
この激烈な恋。
一途な恋を実らせ、水戸の藩士に嫁いだ歌子。しかし、夫は尊王攘夷の急先鋒・天狗党の志士だった。内乱が起こると、歌子らも逆賊として牢獄へ。樋口一葉の師・中島歌子の知られざる過去を描いた直木賞受賞作。
ヘヴン
川上 未映子
552
生きる。
その不条理と
美しさを知って。
〈わたしたちは仲間です〉――同級生からの苛めに耐える十四歳の〈僕〉は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士の密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。善悪の根源を問いかける著者の新境地。
PK
伊坂 幸太郎
530
時を超えて、
勇気は伝染する。
人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られる。三つの物語を繫ぐものは。
凍りのくじら
辻村 深月
800
つらかった。
あなたに会うまでは。
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で一人の青年に出会う。そして同じ頃に始まった不思議な警告。素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。
彼女のこんだて帖
角田 光代
530
美味しいごはんは、
人をつなげる。
ふられた自分のために作る、肉汁たっぷりのラムステーキ、仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、離婚回避のミートボールシチュウ――美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき、連作恋愛小説集。
真昼なのに昏い部屋
江國 香織
476
私は転落したのかしら。
でも、どこから?
軍艦のような広い家に夫と暮らす美弥子さんは、「きちんとしていると思えることが好き」な主婦。しかしいつしか彼女に惹かれているアメリカ人のジョーンズさんのことばかり考えていた――。中央公論文芸賞受賞作。
家族写真
荻原 浩
640
とはいえ、
縁あって家族です。
男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による家族たちの物語。
ミルキー
林 真理子
552
女の顔は、
恋の数だけ変わる。
産休明け復帰祝いの飲み会のあと、妊娠前に何度か関係した陽子の乳首を吸うと……。表題作の「ミルキー」など、女の秘密がぎっしり詰まった12の絶品短編。恋とセックスのためなら女はどこまでもずるくなる。
ふくろう
梶 よう子
680
俺の人生は
偽りなのか?
新任書院番として登城を心待ちにする鍋次郎。実は城内での理不尽な侮蔑に対する復讐を遂げた書院番の息子だった。育ての親がひた隠しにした本当の親の素顔とは。松平外記(げき)刃傷事件の真実が明かされる。
美しいこと
木原 音瀬
600
それでも愛を信じる
すべての人へ。
女の服を着て夜の町を歩き、同性の視線を浴びる快感にはまった若者。会社の冴えない先輩の優しさに思いがけず触れ、性別を隠したままの恋愛が始まる。叶わぬ愛の苦しさと美しさを描ききった著者の最高傑作。
幸福な食卓
瀬尾 まいこ
530
今日で父さんを
辞めようと
思うんだ――。
父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄、ボーイフレンドがとっても好きな佐和子。それぞれが切なさを抱えながら、家族のつながりを再生していく。吉川英治文学新人賞受賞作。
今夜、すベてのバーで
中島 らも
560
これを読まずに
お酒を語るな!
アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)。途切れ途切れに見える幻覚の世界と妙に覚めた日常、そして周囲の個性的な人々を描いた、オモシロくてほろ苦い長編小説。心を揺さぶられる吉川英治文学新人賞受賞作。
ジェントルマン
山田 詠美
560
残酷な本性を知って、
好きになった。
眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。その悪魔のような本性を垣間見た夢生は、善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られ、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う――。
ボクの妻と結婚してください。
樋口 卓治
610
人生最期に、妻に
してあげたいこと。
余命6ヵ月を宣告された放送作家の修治。人を笑顔にしたくて45年間生きてきた。自分が去ったあと、妻と息子の笑顔のためにできること。修治が考え抜いた最後の企画は、妻に最高の結婚相手を遺すことだった。
しずかな日々
椰月 美智子
495
ぼくにとって唯一無二の場所。
ぼくはいつだって戻ることができる。おじいさんの家で過ごした、あのはじまりの夏に――。おとなになってゆく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した感動作。
刑事のまなざし
薬丸 岳
648
悲しみを知る
男の目は澄んでいた。
虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目信人。謎解きだけでは終わらない、涙がこぼれる著者真骨頂の七つの連作ミステリ。
私たちが星座を盗んだ理由
北山 猛邦
770
優しく、美しく、
残酷な物語。
難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ、ファンタジックな短編集。優しく、美しい世界が、ラスト数行で残酷に反転する!
風渡る
葉室 麟
676
自在の風を受け、
混迷の世を駆ける。
時は戦国、神の愛のため戦うと誓った黒田官兵衛。信仰と闘いの論理のはざまで現実に立ち向かう。秀吉の懐刀として勇名を馳せ、「民を貴しとなす」とした名将の真の姿が、直木賞作家による渾身の筆で現代に甦る。
ノルウェイの森(上)
村上 春樹
560
胸に眠る言葉に
耳を澄まして。
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した――。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
ノルウェイの森(下)
村上 春樹
560
哀しみをたどる道に
地図はない。
あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにして、自分との間にしかるべき距離を置くこと――。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。
天翔(あまかけ)る
村山 由佳
780
闇が深いほど、
光はまばゆい。
石狩湾を望む志渡銀二郎の乗馬牧場には、傷ついたり人を信じられなくなった者たちがいた。少女まりもの才能に気づいた大人たちは、人と馬が力を合わせゴールを目指す耐久レース、エンデュランスへの扉を開く。
再会
横関 大
648
真相に秘められた
想いに涙する。
小学校卒業の直前、悲しい記憶と共に拳銃をタイムカプセルに封じ込めた幼なじみ四人組。23年後、彼らはある殺人事件がきっかけで再会を果たす。繫がる過去と現在の事件の真相は。第56回江戸川乱歩賞受賞作。
失楽園(上)
渡辺 淳一
571
この愛を
永遠にとどめたい。
お互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく2人。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛=エロス”を徹底的に求め合う男女を描き、人間とは何かを問うた、渡辺文学の最高傑作。
失楽園(下)
渡辺 淳一
571
社会現象にまで
なった愛のかたち。
人間の中に潜む底深い性の悦びと妖しさに気づき驚き、周囲から孤立しながらも永遠に自分の中に相手をとどめておきたいと願う男と女。性愛の極致を描き、圧倒的な反響を巻き起こした注目の大ベストセラー。
かあちゃん
重松 清
752
母は、自分に
笑うことを禁じた。
同僚を巻き添えに、自らも交通事故死した父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。精いっぱい「母」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたちを著者が初めて描く。
小暮写眞館(上)
宮部 みゆき
700
あなたに見てほしい
風景がある。
高校生・花菱英一が家族とともに越してきた新居は、かつての古い写眞館だった。ほどなくして一枚の心霊写真が持ち込まれ、英一は「霊が泣いている」というその写真の謎を解くことに。待望の現代ミステリー。
小暮写眞館(下)
宮部 みゆき
800
もう一度やり直して
みようと思った。
英一たち家族の暮らす「小暮写眞館」の元主・小暮さんの幽霊に会いたいと、最近様子のおかしい弟・光が言い出した――。そして英一と家族の各々が長年封印してきた過去が明らかになっていく。感動の結末へ。