講談社文庫

シスリー姉さんの月光相談室 あなたの悩みに答えます

───時々猫のようになる妻が気になる。

q. 妻は時々猫のようになります。猫のようといっても可愛いものではなく、何もない空間を無の顔でずっと見ているのです。「何を見ているの?」と、声をかけてもしばらく無反応だったりで困ります。後で改めて何を見ているのかを訊ねてみたところ、そんな変なことしていないと怒るのです。冗談だとしても気味が悪くて仕方がありません。 (40代 男性 チャクラ)

a. チャクラさん、それはちょっと、気になりますよね。それにしても、突然無反応になる奥様のことを「時々猫のようになる」と表現されたこと、興味深いです。なかなかそのような比喩は出てこないものです。猫という生き物の持つ神秘性、自在な感覚を感じ取られたのでしょうね。

 人は時々、これまでの自分をリセットしたくなります。長年かけて築いてきたポジションはかけがえのないものですが、壊したくもあるものなのです。なんとなく家出したいなあ、とか、誰かと恋に落ちてみたいなあとふと思うこと、ありますよね。旅に出たり、知らない人に会ってみたりするのは、その願望の代償行動です。奥様の場合は、ふっと「猫」になることで、その根源的な願望を表現しているように思います。心身が勝手にリセットモードに入ってしまい、ご自身も気付けないのかもしれないですね。そんなときは、妻は今、こころの旅にでかけたのだ、と察知して、そっとしておきましょう。

 しかしあまりに症状が頻繁で、長時間にわたる場合は、しかるべき医療分野の専門家にご相談されてもよろしいかと存じます。

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シスリー姉さん
シスリー姉さん
東直子氏の小説『らいほうさんの場所』(講談社文庫)の主人公志津が、占い師として名乗る名前。作品中でシスリー姉さんこと志津は、「生まれ月別運勢占い」をweb上で毎週更新している。自分の心の内側からふいに浮かんでくる言葉で悩み事に答えるのが、シスリー姉さん流
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