講談社文庫

□2015年12月号目次

最初の出会いは十二年前

長嶋

えーっと、まずは芥川賞受賞おめでとうございます。

羽田

ありがとうございます。

長嶋

七月の話だし、いまごろおめでとうもないか。っていうか当日一緒にいたし。

羽田

そうですよ。そのときに祝福のお言葉はいただいてます。

長嶋

銀座のカラオケボックスで受賞の連絡を一緒に待っていたわけだけど、実は羽田さんとは、そんなに接点がないっていうか、頻繁に会って遊ぶって仲でもなかったんだよね。

羽田

そうですね。そもそも初めてお会いしたのは二〇〇三年の十月、文藝賞の授賞式の会場でしたよね。

長嶋

あのときなぜ会場にいたのかというと、「文藝」っていう雑誌の編集者と打ち合わせがあったんですよ。自分が選考委員をしているわけでもないからおこがましいと思って、新人賞の授賞式に出席するなんてことは、これまでもほとんどないです。

羽田

そうなんですか、打ち合わせがあってたまたま来ていたと。

長嶋

たまたま行ったら、何かうまそうなものが並んでるし、ちょっと顔出してみようかなと思ったんです。そのときの受賞者が羽田さんと生田(紗代)さんと……。

羽田

伏見(憲明)さん。

長嶋

なかでも当時最年少受賞者で十七歳だった学生服を着た羽田さんというのは新鮮に見えましたね、単純に。初々しかった。あと友だちを十人くらい呼んでたんだよね。だから学生服を着た人がいっぱいいる授賞式会場というのも珍しい光景として印象に残っています。

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