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『八月十五日に吹く風』 定価:本体1900円(税別) ご購入はこちら英訳された『源氏物語』に心酔し、開戦後は米海軍の日本語学校に入学。太平洋戦線でOSS(戦略諜報局諜報員)日本語通訳官に。コテージ作戦に参加。
※コテージ作戦−1943年8月、アメリカ海軍トーマス・C・キンケイド少将のもと実行されたキスカ島への上陸占領作戦。戦時中、同盟通信社の外信部に属し、従軍記者としてキスカ島撤退作戦で阿武隈に乗船。戦後は朝日新聞社に勤務。
満州赴任時の1938年にナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人の出国を許可し、樋口の準備した脱出路はユダヤ人たちの間で「ヒグチ・ルート」と呼ばれ、後に世界から賞賛された。陸軍北方軍司令官としてアッツ島玉砕、キスカ島撤退に参加。
ミッドウェイ海戦、ビスマルク海海戦など数々の海戦に参加。ベンガル湾通商破壊戦では敵の輸送船撃沈の際に乗員を退去させてから沈める人道的配慮を取った。第1水雷戦隊司令官としてキスカ島撤退作戦を指揮。
題材は太平洋戦争の敗色が濃くなった昭和18年、アリューシャン列島の西にある鳴神島(なるがみとう)=キスカ島にある日本兵5200名を奇跡的に無血撤収した史実に依って書かれている。
(中略)
本書のテーマは、戦時下における命の尊さに他ならない。そして、海外の戦争冒険小説並みのエンターテインメント性を有しながら、この一巻のかなりの部分は登場人物の心の中のディスカッション小説としても読むことができる。
いわく「若い兵士たちは、天皇陛下のため命を捧げるべき、そう信じている。敗北はむろんのこと、敵の捕虜になるのも恥と考える。だが、こんな時代をつくりだしてしまった自分たちこそ、恥を知らねばならない。
守るべきもののためには戦う。それでも無益な死を見過ごせない。命の存続をこそ、人として強く求めるべきだ。
軍人にあるまじき考えかもしれない。中将となればなおさらだった。しかしこの立場でなければ救えない命が、いまの世には溢れている」。
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