作家と文学賞
文学賞。
それは誕生の瞬間。
それは飛躍の証明。
それは円熟の象徴。
いつ、どこで、どの作品で、賞を受けたのか。
驚いた。喜んだ。はたまた、悔しかった。
文学賞に対する思いは、作家の数だけ違う。
けれど、ひとつだけ共通すること。
どんな賞にも受賞者しか知らない秘密と
思い出がある。
作家がこっそり教えてくれる、
ここだけの「文学賞」、うちあけ話。
そもそも文学賞とは?
1.贈る相手
文学賞には「まだ世に出ていない作品に贈られる賞」と、「すでに出版(発表)されている作品に贈られる賞」がある。
前者は「公募新人賞」とよばれ、応募された未発表原稿が選考対象だ。受賞すると商業作家としてデビューすることになる。作品だけではなく、作家に贈る賞と考えてもいいだろう。
後者はすでに本になっている作品、もしくは雑誌・新聞などに発表された作品を表彰するものだ。吉川英治文学新人賞のように「新人賞」とつく賞もあるが、本来は「デビューして日が浅い作家が対象」という意味だ。未発表原稿を応募しても返事はこないのでご注意あれ。
2.ジャンル
多くの賞では対象作品のジャンルが定められている。大きな区分けに純文学とエンターテインメントがあり、さらにジャンル分けされる。 また野間文芸賞や日本推理作家協会賞では評論作品も対象となっている。
3.選考方法
作家が選考委員となり、選考会で受賞作を決める方法がほとんど。珍しい例には本格ミステリ作家クラブの会員による投票で決定される本格ミステリ大賞がある。
メフィスト賞など一部の公募新人賞では、選考委員を立てずに編集部で受賞作を決定することも。
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ようこそ、オルガ女学院の女子寄宿舎へ
「カーリー」の世界
物語の舞台
──ここは、百年前のイギリスなの──
一九三〇年代後半、英国統治下のインド。名目上はイギリスから独立権を得ている藩王国「パンダリーコット」の中に、小さなイギリス人社会がありました。
そこに暮らすイギリスから派遣されてきた役人たちとその家族。彼らは自らの暮らす英国保護区を「小さな王国」、イギリスを「ホーム」と呼んでいました。そしてそこにはイギリス役人の子女をいっぱしのレディに教育することを目的とした、寄宿舎制の女子校「オルガ女学院」がありました。この女子校に転入してきた女の子シャーロットが、この物語の主人公です。
シリーズ二作目までは、この「オルガ女学院」でシャーロットが出会った大切な仲間たちとの生活が鮮やかに描かれてきました。そして三作目。舞台は一気に四年後になります。
第二次世界大戦の開戦により、閉鎖されてしまった「オルガ女学院」。世界中にちりぢりになってしまった仲間たち。だけどシャーロットはあの「英国女王の宝冠に嵌められたもっとも美しい宝石」と呼ばれるインドで暮らした日々を忘れることができませんでした。そして彼女は再び戦乱の中にあるインドへ向かうのです──。
目まぐるしく動く世界情勢もどこ吹く風。少女たちは力強く生きている。
これは、激動の時代を懸命に生きた少女たちの恋と青春の物語です。
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