「無用の人」は、主人公・聡美が監視員として勤める美術館に届いた謎の「鍵」をきっかけに、ひと月前に孤独死した父との記憶をたどり、家族でさえ知らなかった父の晩年の姿が次第に明かされてゆく感動の人間ドラマ。なんの取り柄もなく、家族からも社会からも見捨てられ、ひとり静かに死んでいった父が「愛したもの」とは、一体何だったのか。優しく芳醇な言葉で綴られた父と娘の物語が、原田自身の手によってどのような映像に生まれ変わるのか――。
「無用の人」は、主人公・聡美が監視員として勤める美術館に届いた謎の「鍵」をきっかけに、ひと月前に孤独死した父との記憶をたどり、家族でさえ知らなかった父の晩年の姿が次第に明かされてゆく感動の人間ドラマ。なんの取り柄もなく、家族からも社会からも見捨てられ、ひとり静かに死んでいった父が「愛したもの」とは、一体何だったのか。優しく芳醇な言葉で綴られた父と娘の物語が、原田自身の手によってどのような映像に生まれ変わるのか――。
「まるで映像を見ているようだった」読者の方々からよく言われます。 映像を追いかけるように文章をつづる、そうやっていくつもの物語を書いてきました。 そして、いつか自作を自ら映像化してみたいと心ひそかに願っていました。 作家になってまもなく 20 年、ついにその機会が訪れました。 私の心の目が追いかけてきた映像を皆様方と共有したい。その思いを胸に、新たな挑戦を始めます。 ご期待ください。
<男の人に嫌気がさしたとき>
「最後の伝言 Save the Last Dance for Me」
主人公:栄美 38歳の美容師
母が亡くなった。だが、告別式に父の姿はない。
父は色男な以外はまったくの能無し。
典型的な「髪結いの亭主」だった……。
<お腹と心、両方が寂しいとき>
「月夜のアボカド A Gift from Ester's Kitchen」
主人公:マナ 19歳のフリーランス・アートコーディ―ネーター
メキシコ系アメリカ人の友人エスター。
彼女は60歳で結婚をして、5年後に夫と死別したのだという。
その愛の物語とは……!?
<大切なものを見失いそうなとき>
「無用の人 Birthday Surprise」
主人公:聡美 50歳、美術館の学芸員
勤務先の美術館に宅配便が届いた。
差出人はひと月前に他界した父。
母には疎まれながらも、現代アートを理解してくれて……。
<母の味が懐かしいとき>
「緑陰のマナ Manna in the Green Shadow」
主人公:〈私〉 40代後半のフリーランス・ライター
イスタンブールを訪れた。
トルコを紹介する小説を書くために。
そこで聞いたトルコの春巻と、母親の味の話は……。
<話し相手がほしいとき>
「波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach」
主人公:喜美 フリーランス広告ディレクター、45歳
大学時代の同級生ナガラとは年に4回くらい旅をしている。
今回、近場の赤穂温泉を選んだのには訳があって……。
<自分は誰かに必要とされているのだろうか、と思うとき>
「皿の上の孤独 Barragan's Solitude」
主人公:咲子 48歳、都市開発会社社長
メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸までやってきた。
かつてのビジネスパートナーの「目」になるために……。