使用済みの絵葉書、義眼、徽章、ドアノブ……。「こんなもの、誰が買うの？」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。そこは愛するものを失った人々が、思い出に巡り合える場所。

この本を燃やしなさい。読みおえたら。——衝撃的なオノ・ヨーコの「言葉」。この本に刺激され、ジョン・レノンは「イマジン」を生み出した。言葉を選び、訳し直した、33人の写真家とのコラボレーション!!

鮫島功一は趣味が読書という理由で、会社会長に招待され、10年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話を聞く。たった1人にたった一晩だけ貸すことが許された本を巡る珠玉のミステリー。

ふられた自分のために作る、肉汁たっぷりのラムステーキ、仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、離婚回避のミートボールシチュウ——美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき、連作恋愛小説集。

世知辛い現代、勝利は敗北の始まりだ。転落の瞬間を待つ殺し屋の餌食となる前に、目指すべきは“いかに負けるか”。リストラ→ハロワ通いに泣いた漫画家兼OLの著者が説く、敗北からの必笑！　幸福指南エッセイ。

わたしは人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする日々のなかで三束さんにであった。芥川賞作家が描く究極の恋愛はすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。

6年前、理由も告げず姿を消してしまった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六篇を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短篇集。

父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄、ボーイフレンドがとっても好きな佐和子。それぞれが切なさを抱えながら、家族のつながりを再生していく。吉川英治文学新人賞受賞作。

生きるということはどういうことか。出逢いについて、幸福について、無常について、愛について、別れについて、老いについて……人の生死の問題を身近かな例で深く考え、真理をさぐる魂の随筆、紙上辻説法。

潔癖症で重度の神経症の漱石と、大らかで大雑把な鏡子の夫婦生活は戦場そのものだった。鏡子はなぜ悪妻と呼ばれたのか？　2人はどうして別れなかったのか？　余人には窺い知れない夫婦の絆を妻の視点で描く。

少年犯罪の過去を持つ「悪辣弁護士」御子柴礼司が蘇った！　剛腕ながら依頼人に高額の報酬を要求する御子柴は、突如、夫殺し容疑の主婦の弁護を希望する。対する検事は因縁の相手・岬恭平。果たして裁判の行方は？

海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。片想いだった相手に失恋した七月、契約職員の春香がやってきた。周囲とぶつかる彼女に振り回される日々。けれど季節の変化とともに彼の日常も変わり始める。

「美魔女」「アンチ・エイジング」などの言葉に踊らされ、いつの間にか“女の現役”から降りられなくなった私たち。中年期に必要なのは、顔じゃなくて“心のリフトアップ”！　著者が贈る、美の極意満載のエッセイ集。

郷里・沖縄で漠然と日々を送る平凡な派遣社員のまじむ。社内ベンチャー募集の告知が彼女の運命を突然変えた。まじむは沖縄のさとうきびでラム酒を造るという事業を提案する。彼女の夢は果たして実現するか？

就職浪人中のアズサは「なりたいもの」がわからない。特技も、うーん、探し物？　ようやく決まったアルバイト先は山上の郵便局。そこで不思議な人々と出会い……。生きることの意味をユーモラスに教えてくれる癒し小説。

同日に同じマンションで、2人の独身キャリアウーマンが殺された。新人ルポライターの楢本野江は、2つの殺人をつなぐ接点を探るうち、驚くべき真相に辿り着く。女たちの心の闇をえぐり出す長編ミステリー。

高校生・花菱英一が家族とともに越してきた新居は、かつての古い写眞館だった。ほどなくして1枚の心霊写真が持ち込まれ、英一は「霊が泣いている」というその写真の謎を解くことに。待望の現代ミステリー。

英一たち家族の暮らす「小暮写眞館」の元主・小暮さんの幽霊に会いたいと、最近様子のおかしい弟・光（ピカ）が言い出した——。そして英一と家族の各々が長年封印してきた過去が明らかになっていく。感動の結末へ。

「荒城の月」の「めぐる盃かげさして」の一節を「眠る盃」と覚えてしまった少女時代の回想の表題作をはじめ、なにげない日常から人生のきらめきを切りとる珠玉の随筆集。文字が大きく読みやすくなった新装版。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保っている日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。表題作、他三編。

優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他、奇想天外な13編。

お互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく2人。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛＝エロス”を徹底的に求め合う男女を描き、人間とは何かを問うた、渡辺文学の最高傑作。

人間の中に潜む底深い性の悦びと妖しさに気づき驚き、周囲から孤立しながらも永遠に自分の中に相手をとどめておきたいと願う男と女。性愛の極致を描き、圧倒的な反響を巻き起こした注目の大ベストセラー。

ようこそ、「イタリアの宮沢賢治」と言われるロダーリの物語世界へ。バター人に宇宙ヒヨコ、壊すために作られた建物……びっくりキャラクターや場所が数々登場。シュールな展開に吹き出し、平和の尊さに涙する！