講談社文庫

第62回江戸川乱歩賞受賞作、ついに文庫化!

QJKJQ 佐藤 究

私の家族は全員、猟奇殺人鬼 殺人鬼一家で見つかった家族惨殺死体。殺されたのは兄。女子高生の亜李亜は、父を疑った。だが一家には、さらなる秘密があった……。

夫のちんぽが入らない

QJKJQ

佐藤 究

女子高生の亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家に生まれ、郊外でひっそり暮らしていた。父は血を抜いて殺し、母は撲殺、兄は咬みついて失血させ、亜李亜はナイフで刺し殺す。ところがある日、部屋で兄の惨殺死体を発見する。翌日には母がいなくなり、亜李亜は父に疑いの目を……。第62回江戸川乱歩賞受賞の長編ミステリー。

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トリビア企画 よくわかる殺人講座

  • 1 主人公・亜李亜お気に入りのロックバンド「マリリン・マンソン」の名前の由来

    <リーダー兼ヴォーカル>マリリン・マンソン マリリン・モンロー(女優)+チャールズ・マンソン <ベーシスト>トゥイギー・ラミレス ツイッギー(伝説的モデル)+リチャード・ラミレス <かつて在籍したメンバー>マドンナ・ゲイシー マドンナ(歌手)+ジョン・ゲイシー<リーダー兼ヴォーカル>マリリン・マンソン マリリン・モンロー(女優)+チャールズ・マンソン <ベーシスト>トゥイギー・ラミレス ツイッギー(伝説的モデル)+リチャード・ラミレス <かつて在籍したメンバー>マドンナ・ゲイシー マドンナ(歌手)+ジョン・ゲイシー
  • 2 連続快楽殺人犯には二つのスタイルがある

    その一『巣がある』

    「自分の家、もしくはきまった隠れ家で殺す。家の床下に子供を埋めつづけたジョン・ゲイシーがそうだし、『羊たちの沈黙』で有名な人肉食のレクター博士のキャラ設定もそう。〈専用部屋〉のあるうちの母、そして兄も」

    その二『狩に出る』

    「路地裏、ホテルの部屋、川原、森、林などで、少しずつロケーションを変えつつ殺す。娼婦狙いの切り裂きジャックがそうだし、ロシアの殺人鬼チカチーロ、うちではやらない父、そしてこのわたしがそう」

  • 3 殺人遺伝子は「カインのしるし」と呼ばれる

    『旧約聖書』に出てくる人類最初の殺人者・カイン。アダムとイヴのあいだに生まれ、弟にアベルがいる。あるとき、兄弟は神にそれぞれの贈り物をささげたが、受け取ってもらえたのはアベルだけだった。これに怒り狂ったカインは、アベルを殺してしまう。カインは神の罰として、畑には作物が育たないようにされ、さらに殺人の罪を犯したことが誰にでもわかるように「しるし」をつけられてしまう。そして、いつ爆発するともわからない暴力と憎悪を抱えた哀れな人間としてカインは生きつづける──。

  • 4 殺人者は三つのタイプに大別される

    連続殺人犯(シリアルキラー)

    「長期に及び、冷静な判断を下しつつ、殺しつづけられる者。殺人へのフォーカスと、日常へ戻るクールダウンを使い分けられる」

    騒動殺人犯(スプリーキラー)

    「短期間に、おもに屋外で突発的な殺人をおこなう者。ひとたび衝動を爆発させれば、制圧されるまでクールダウンができない」

    大量殺人犯(マスマーダー)

    「入念な準備計画を立て、同じ場所で確実に三人以上殺す者。テロリストに近似するが組織性はない。犯行直後に自殺するケースが多くみられる」

解説吉田大助(書評家)

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  • 解説

 アルファベットの大文字、5文字で、QJKJQ。異形のタイトルを持つ本作は、第62回(2016年度)江戸川乱歩賞を受賞した、佐藤究の(再)デビュー作だ。

 断片化した観測カメラの映像と「監視対象へのインタビュー」で構成されたプロローグをくぐり抜けると、開幕した本編のわずか19ページ目で、主人公が人を殺す。西東京市に暮らす女子高校生─市野亜李亜は、彼女だけでなく父も母も兄も、家族全員が殺人鬼だった。ある夜、家の2階で、兄の惨殺死体を発見する。1階のダイニングにいた父に声をかけ、二人で兄の部屋に入ると、兄の死体は一滴の血も残さず消えていた。何が起きたのか? この出来事を皮切りに、亜李亜の周辺で奇妙な謎が連鎖していく。

 もしもまだ読んでいないという人は、とにかく、今すぐ本文に当たってほしい。衝撃と感動は保証する。とはいえ、文庫の解説は本文が読みたくなるくすぐりであってほしいと思っている人のために、今から少しくすぐりたい。ただし、ひとつだけネタを割る。

 三幕構成を基本とするハリウッドの脚本術において、もっとも重視されるのは第二ターニングポイントだ。第二幕の終わりから第三幕への移行過程でどのようなイベントを起こし、ラストへとなだれ込む流れをどう作るのか。それは通常、「それまでの物語の展開を総括したうえで引っ繰り返し、主人公にとっての新たな(本当の)問題設定を行う」ものとして企図される。

 カメラをどの位置に置きどの角度と構図で、どの順番で映し出していけばクリアかつ滑らかに情報が整理されて受け手に届くか。映画を浴びるように観てきた人間ならではの「映像的」な感性で綴られた本作は、ハリウッド流第二ターニングポイントの掟を忠実に遂行した、二重扉のミステリーとなっている。実質的な密室状態の中で、「兄の死体はどこへ消えたのか?」。その謎が解き明かされた瞬間─総ページ数の3分の2に差し掛かった瞬間─、新たな謎の扉が開く。「人はなぜ人を殺すのか?」。仮の謎から、真の謎へ。個人の謎から、人類の謎へと急拡大を果たす。

※この続きは講談社文庫『QJKJQ』でお読み下さい。

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