講談社文庫

『ニャンニャンにゃんそろじー』 『ニャンニャンにゃんそろじー』

『ニャンニャンにゃんそろじー』

猫のいない人生なんて!
良いときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、
健やかなるときも病めるときも、いつでも猫にいてほしい。
猫を愛してやまない9人の作家・漫画家が贈る、
猫好きのためのアンソロジー。
愛されるより愛したい。その猫愛を存分に満たす、
バラエティに富んだ作品たちが、1冊に。

5つの小説

「猫の島」 有川ひろ
「ファントム・ペインのしっぽ」 蛭田亜紗子
「黒猫」 小松エメル
「まりも日記」 真梨幸子
「諧和会議」 町田 康

4つの漫画

「猫の島の郵便屋さん」 ねこまき(ミューズワーク)
「ネコ・ラ・イフ」 北道正幸
「夜廻り猫」 深谷かほる
「ヅカねこ」 ちっぴ

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『ニャンニャンにゃんそろじー』

猫のいない人生なんて!
良いときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、
健やかなるときも病めるときも、いつでも猫にいてほしい。
猫を愛してやまない9人の作家・漫画家が贈る、
猫好きのためのアンソロジー。
愛されるより愛したい。その猫愛を存分に満たす、
バラエティに富んだ作品たちが、1冊に。

5つの小説

「猫の島」 有川ひろ
「ファントム・ペインのしっぽ」 蛭田亜紗子
「黒猫」 小松エメル
「まりも日記」 真梨幸子
「諧和会議」 町田 康

4つの漫画

「猫の島の郵便屋さん」 ねこまき(ミューズワーク)
「ネコ・ラ・イフ」 北道正幸
「夜廻り猫」 深谷かほる
「ヅカねこ」 ちっぴ

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有川ひろさん「猫の島」

雑種の猫が好きです。
子供の頃に猫を飼っていました。
以来、猫を見かけたら構わずにはいられません。
猫は猫の都合でしか動かない。
でも、そこがいい。
「猫の島」では、人を恐れない堂々とした猫を
書きました。

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トム

PROFILE

有川ひろ(ありかわ・ひろ)

高知県生まれ。2004年『塩の街 wish on my precious』で「電撃ゲーム小説大賞 」大賞を受賞しデビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊三部作」、「図書館戦争」シリーズ、「三匹のおっさん」シリーズをはじめ、『阪急電車』『植物図鑑』『県庁おもてなし課』『空飛ぶ広報室』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』など著書多数。
2019年に「有川浩」より「有川ひろ」に改名、以降の著書に「倒れるときは前のめり」シリーズ、『イマジン?』がある。

ねこまき(ミューズワーク)さん
「猫の島の郵便屋さん」

私にとって猫とは家族を繋ぐ重要な存在です。
会話が無くなりつつある夫やギスギスしがちな義母との
間を猫たちが上手に取り持ってくれています。
以前、夫と怒鳴りあいの大喧嘩になったことがありました。
いよいよ怒りが頂点にというその時!
二匹の猫が慌ててやってきて、
まるで私に加勢するように夫に向かって
「にゃー! にゃー!」と鳴きだしたのです。
その必死さに思わず笑ってしまい、二人とも戦意喪失。
今では喧嘩の原因すら憶えていません。
我が家では「子は鎹(かすがい)」ならぬ「猫は鎹」なのです。

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マロン

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みかん

PROFILE

ねこまき(ミューズワーク)

名古屋を拠点にイラストレーターとして活動しながら、コミックエッセイをはじめ、犬猫のゆるキャラ漫画、広告イラストなどを手掛けている。著作にベストセラーの「まめねこ」シリーズ、『まんが ねこねこ横丁 東京かんばん猫』『ケンちゃんと猫。ときどきアヒル』『トラとミケ いとしい日々』、『ねこのほそみち』『ねこもかぞく』(ともに堀本裕樹氏との共著 )などがある。 本書掲載の作品は「ねことじいちゃん」シリーズ(既刊5巻)の番外編となっている。

蛭田亜紗子さん
「ファントム・ペインのしっぽ」

全肯定できる存在。
ソファをぼろぼろにされてもみみず腫れをつくられても
家じゅうに嘔吐爆弾を投下されても、まるごと許して愛せる。
普段生活していると、ひとに対して腹を立てることが多々あるけど、
ほんとうはだれもが愛すべき存在なんじゃないか、
猫に対するときのようにもっと寛容になっても
いいのではと気付かされる。
私の怠惰さも猫ほどではないよね、
と自分にまで甘くなるのが難点だけど。

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わさび

PROFILE

蛭田亜紗子(ひるた・あさこ)

1979年北海道生まれ。2008年に「女による女のためのR -18文学賞」大賞を受賞。2010 年『自縄自縛の私』を刊行しデビュー。その他の著書に『人肌ショコラリキュール』『愛を振り込む』『フィッターXの異常な愛情』『凜』『エンディングドレス』などがある。

北道正幸さん「ネコ・ラ・イフ」

日常的に目にするなじみの生き物で、
屋根の上からの眺望を獲得した動物といえば
「鳥」と「猫」以外にないでしょう。
うかつに近づくとパッと飛び立ってしまうあたり
猫は鳥によく似ている。
と、やや強引にこじつけましたが、つまり、
人の生活圏で暮らしながら人との距離を保ち、
風景にとけ込んでる猫の姿を
みたり描いたりするのが好きなのです。
彼らを愛おしく撫でているときも、
ずっとこの距離感は変わらないだろうと思います。

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ジロベエ

PROFILE

北道正幸(きたみち・まさゆき)

1967年福井県生まれ。1992年、アフタヌーン四季賞佳作を受賞。以後、「アフタヌーン」に、ギャグ漫画『スカタン野郎』『スカタン天国(パラダイス)』、特撮のパロディ漫画『ぽちょむきん』を連載。現在はシニカルな猫たちを描いた4コマ漫画『プ~ねこ』(既刊7巻)を連載中。

小松エメルさん「黒猫」

私にとって、猫は日々の癒しです。
近所の皆で世話をしている地域猫たちは、
愛想の良い子もそうでない子もいますが、皆とにかく可愛い。
何をしても可愛い……。方々でそう語っていたところ、
こうして猫を題材にした小説企画に誘っていただく機会が
多くなりました。物語の中でなら人を殺すのもまるで
厭(いと)わぬ私ですが、猫を傷つけることにはどうしても
躊躇(ためら)いを覚えてしまいます。
どの世界でも、猫には幸せでいて欲しいものです。

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榎本さん(♀)

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晋作(♀)

PROFILE

小松エメル(こまつ・えめる)

1984年東京都生まれ。2008年、『一鬼夜行』で「ジャイブ小説大賞」大賞を受賞しデピュー。著書に『夢追い月』をはじめとする「蘭学塾幻幽堂青春記」シリーズ、『うわん 七つまでは神のうち』をはじめとする「うわん」シリーズ、『梟の月』『銀座ともしび探偵社』『夢の燈影 新選組無名録』『総司の夢』『歳三の剣』などがある。

深谷かほるさん「夜廻り猫」

人には言わない思い、誰にも見せない涙。
たぶん多くの人が、大なり小なり、
そういう秘密を持っていると思います。
もし、そっと人の心に入り込める猫がいたら。
人の、心に秘めた大切な思いを聞くことが出来るんじゃないか。
そしてそれは、もしかしたら、いろんな人の水面下の頑張りを
いたわり、誇ることが出来るんじゃないか。
そしてもしかしたら、懸命になんとか生きている我々を、
ほんの少しでも慰め、励ますことが出来るかもしれない――。
そんな風に夢見て、
私は『夜廻り猫』を描いています。
落ち込むことがあったら、
寂しい時があったら、
そして、人は皆いずれ死ぬのだと
愕然としたら、
読んでみて下さい。
解決は無いけれど私は仲間です。

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PROFILE

深谷かほる(ふかや・かおる)

2015年10月、Twitterにて『夜廻り猫』の連載を開始。以後、毎夜のように更新を続け、読者の共感を得る。同作で、2017年手塚治虫文化賞短編賞を受賞。本書掲載の作品は、『夜廻り猫』(既刊6巻、Webコミックサイト「モアイ」にて連載中)からの抜粋である。代表作に『ハガネの女』『カンナさーん!』『エデンの東北』などがある。

真梨幸子さん「まりも日記」

更年期真っ只中の私。
ルイボスティー、高麗人参(こうらいにんじん)、ローヤルゼリー、
漢方と試したが、一番効果があるのはマリモさん。
彼女の愛らしい仕草を見ていると、イライラものぼせも吹っ飛ぶ。
あ、マリモさんとは、数年前から一緒に暮らしているニャンのこと。
「まりも日記」に出てくるニャンのモデルだ。
私がもし、貧乏時代にマリモさんと出会っていたら……
という仮定のもと創作したのだが、書いていて辛くなった。
マリモさんにあんな思いをさせないように
お仕事、頑張らなくちゃな……と。
住宅ローンもたっぷり残っていることだし。

追記。
この「まりも日記」は、私が実際にアップしているブログから、
ところどころ引用している。
つまり、虚実ごっちゃまぜ。
どこからどこまでが「虚」で、どこが「実」なのか。
お暇があれば、ブログの内容をまとめた
『おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。』(幻冬舎文庫)を
手に入れて、読み比べるのも一興かと。

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マリモさん(姉)

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モナミちゃん(妹)

PROFILE

真梨幸子(まり・ゆきこ)

1964年宮崎県生まれ。『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。『殺人鬼フジコの衝動』が大ヒット、一躍「イヤミス」の旗手として注目をあびる。『祝言島』『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで』『向こう側の、ヨーコ』『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼ口係』『初恋さがし』『三匹の子豚』『坂の上の赤い屋根』など著書多数。

ちっぴさん「ヅカねこ」

猫が何を考えているのか。
猫が思い思いに過ごしているのを見ながら、
今、どんな気持ちで何を考えているんだろうと
ふと思うことがあります。
少し前に愛猫を亡くし、そんな風に猫を見つめる時間が
減ってしまってとても寂しい。
同じ時間を共有しながらこの子は自分の時間を生きているな、
と思わせる猫との暮らしはとても心地よくて、愛おしいものです。
猫がしたことは無条件ですべて許せる。
そうしていると他のことにも仕方ないな、となってくる。
気ままな猫が自分を少し優しい人間にしてくれたと思います。

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トラ吉

PROFILE

ちっぴ

群馬県出身。猫とともに宝塚歌劇団をこよなく愛する。WEBサイト「FEEL FREE」で『ヅカねこ』を発表、2016年に書籍化もされた。本書掲載作品は、2017年に描かれたその番外編である。

町田 康さん「諧和会議」

自分は猫が好きである。
どれくらい好きかというと、例えば往来をしていて、
駐車中の車の下に猫がいるのを見つけたとする。
と、もういけない。
その場にかがみ込み、見知らぬ通りすがりの猫に、
文字通り字義通りの猫撫声(ねこなでごえ)で、可愛いな、かしこいな、
と語りかけ飽かぬという体(てい)たらくで、
まったくもって浅ましいことこのうえない、というか、
このことは自分の社会的評価にも影響する。
(『猫にかまけて』より)

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PROFILE

町田 康(まちだ・こう)

1962年大阪府生まれ。作家、詩人、歌手。1996年に発表した「くっすん大黒」で野間文芸新人賞、ドゥマゴ文学賞を受賞。「きれぎれ」で芥川賞、『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、「権現の踊り子」で川端康成文学賞、『告白』で谷崎潤一郎賞、『宿屋めぐり』で野問文芸賞 を受賞。『湖畔の愛』『記憶の盆をどり』『ホサナ』『しらふで生きる 大酒飲みの決断』、「スピンク日記」シリーズ、「猫にかまけて」シリーズなど著書多数。 本書掲載の「諧和会議」は、作品集『猫のエルは』にも収録されている。

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