『永山則夫 封印された鑑定記録』堀川惠子

『永山則夫 封印された鑑定記録』堀川惠子

驚異の取材力で、問題作を次々と発表。ノンフィクション界を牽引する

発掘された100時間を超える肉声テープ

永山事件は、人間の闇が生み出したものだ。人は人とつながることで人になるが、つながれなかったゆえに生まれた闇である。本書は、これまで永山則夫を追ってきた著者の執念の結実にちがいない。

── 奥野修司(ジャーナリスト)

鑑定テープと取材をもとに著者は、信頼と不信、愛情と憎悪の間で揺れ動く永山の人生の迷走を見事にあぶり出した。求めても決して与えられなかった人間的なぬくもり。どこにも存在できない己の人生。
そして永山は逡巡の末、石川医師に殺人の真の動機を吐き出した。
その一言は、あまりにも悲しい一言だった。

── 角幡唯介(ノンフィクション作家)
  • 堀川惠子

  • プロフィール
    堀川惠子(ほりかわ・けいこ)1969年広島県生まれ。ジャーナリスト。『チンチン電車と女学生』(小笠原信之氏と共著)を皮切りに、ノンフィクション作品を次々と発表。『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫―封印された鑑定記録』(以上、講談社文庫)で第4回いける本大賞、『教誨師』(講談社)で第1回城山三郎賞、『原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年』(文藝春秋)で第47回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。
講談社文庫 堀川惠子 作品リスト

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