読者の方へ
これからまたどんどん生きづらい時代になるという予感があります。そういう中では「孤独」ということがとても大切になります。
昔は学生運動の中で「連帯を求めて孤立を恐れず」などと言っておりました。またホセ・オルテガ・イ・ガセットの言葉に「together and
alone」というのがあって、これがすごく印象に残っています。「和して同ぜず」という意味ですね。協調しながらも自分という個は保つ。私は『孤独のススメ』という本を出しましたが、孤独というのは、独りぼっちでいることではない。みんなと一緒にいながら、自分はここにいるみんなと違うということを感じること、それが本当の孤独であり、良い孤独なのではないでしょうか。
そのために大切なのは、「人は死ぬ」ということと「世界」についてしっかり思いをいたすということです。そしてそのための方法としてはやっぱり本を読むしかありません。自分の畑に水をひくようなことですけど(笑)。活字を読むということは、今の時代だと少し遅れていることのように感じるかもしれません。でも「本を読む」ということで私たちの世界は無限大に開かれていく。私自身も年を取るにつれ、よりたくさんの本を読むようになりました。本を読むことで、このなんとも言えない時代に生きていく勇気やエネルギーがわいてくる。挫折を繰り返しながら本を手に取って読んで、生きていってほしいと先輩として心から願っています。
五木寛之
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国民的大河小説、いよいよ完結迫る!
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『新 青春の門 第九部 漂流篇』
筑豊で生まれ育った伊吹信介。
その青春の旅は、東京、北海道、そして
ついにシベリアの地へ……。あらすじ
シベリア横断を足の骨折で断念し、謎の日系医師、ドクトル・コジャーエフの家で療養することになった伊吹信介。KGBの影に怯えながらも、ドクトルとその恋人・タチアナの厳しい指導で現代史やロシア語を学び、新しい生き方に目覚める。歌手として自分らしい歌を探し求めて作詞を試みる牧織江。彼女の存在感に惹かれて担当することにした伝説のディレクター・高円寺竜三は名門レコード会社の内紛に巻き込まれていく。新会社独立に暗躍するフィクサー役の新聞記者・筑紫次郎の真の狙いとは?
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『青春の門 第一部 筑豊篇』
あらすじ
熱い血がたぎる筑豊の地に生まれた伊吹信介。目覚めゆく少年の愛と性、人生の希望と旅立ち。ひたむきな青春の遍歴を雄大な構想で描き、世代を超えて読みつがれる不滅の大河ロマン。一九七六年吉川英治文学賞を受賞。
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『青春の門 第二部 自立篇』
あらすじ
筑豊の山河をあとに一人上京した伊吹信介。彼を迎える大学生活と東京という未知に世界。苦しい日々のなか、熱い友情と異性への想いをはぐくみ、夢を追い求める。青年の魂の昂揚と愛を描く大河ロマン第二部。
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『青春の門 第三部 放浪篇』
あらすじ
新しい演劇をめざし東京を旅立った伊吹信介。演劇への志に結ばれた仲間とともに冬の海峡を越え函館に。若者たちの前には巨大な港の暴力が立ちはだかる。北国の街に青春の意味を模索する放浪の群像。
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『青春の門 第四部 堕落篇』
あらすじ
人間は生き、人間は堕ちる――北海道を離れ上京した信介の、重くよどんだ倦怠の日々。歌手をめざす織江は去り、学友たちは政治運動にのめりこんでゆく。哀しみと屈辱感のなか、信介は限りない虚無を見つめていた。
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『青春の門 第五部 望郷篇』
あらすじ
敗北感に打ちひしがれて筑豊に帰った信介を待っていたのは、恩人塙竜五郎の死だった。もはや故郷との縁は切れた。さらば筑豊、さらば香春岳。孤独だが自由の身となった信介に、再び新しい旅立ちのときが訪れる。
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『青春の門 第六部 再起篇』
あらすじ
人生の目的を見つける過程が青春なら、信介はいまそのただなかにいる。若さに賭けて、再会した織江とともに未知の芸能の世界へと確かな足どりで踏みこんでいく。希望と焦燥をくり返す人生の遥かな道。
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『青春の門 第七部 挑戦篇』
あらすじ
老アナキストの遺骨と拳銃を抱いて、伊吹信介は北へ旅立つ。激風吹きすさぶ江差で会ったオーストラリアの友人ジョンの「あなたは一度日本を出てみるべきです」という言葉に戸惑う信介。函館の街で彼の背中を押す風が吹く。
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『青春の門 第八部 風雲篇』
あらすじ
故郷の筑豊を離れ、上京してから七年。葛藤、挫折、再起をくり返し苦悩する伊吹信介は、ユーラシア大陸横断の大望を胸に秘め、シベリアへの密航を果たす。国際情勢の複雑多岐な現実に戸惑いながらも、大自然に生きる人々との出逢いに心打たれる信介。未知の世界の息吹に触れ、信介の旅は続く。
マンガで読む青春の門