最果てアーケード
小川洋子
定価:本体500円(税別)
ここは、世界でいちばん小さなアーケード。
使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続ける。
ひそやかな花園
角田光代
定価:本体730円(税別)
私たちがいま、
ここに生きているということ。
幼いころ、毎年サマーキャンプをすごしていた7人は、兄弟姉妹のようでもあり、ライバルでもありその時間を楽しんでいた。しかしある年を境に、それは突然立ち消えになっていた。時は経ち、大人になり別々の人生を歩んでいた彼らはあるきっかけから、「あの集まり」の謎を探り始める。
甘い罠
鏑木蓮
定価:本体680円(税別)
糖質オフは身体にいいのか、
悪いのか!?
料理研究家・水谷有明が依頼を受けたのは和食レストランのメニュー開発。糖質制限食をメインにしようと提案する有明だったが、社長と意見が合わない……。糖質制限食がいかにいいか社長にも必死でプレゼンするが、和食界の重鎮である有明の師匠との料理対決をして勝つこと、を条件にされてしまった。
愛の夢とか
川上未映子
定価:本体550円(税別)
あのとき、ふたりが世界のすべてになった。
ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、日々の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。何気ない日常がドラマに変わる瞬間をとらえた7篇。
負ける技術
カレー沢薫
定価:本体680円(税別)
炎上大国日本に生きる、すべての人必読!
下から目線の幸福指南エッセイ
世知辛い現代において、勝利は敗北の始まりだ。勝者を慕い集まるのはせいぜい1割、残りは転落の瞬間を待つ殺し屋ばかりと言えよう。ならば目指すべきは“いかに負けるか”。リストラ→派遣切り→ハローワーク通いに泣き、今は漫画家兼OLとして自転車操業中の著者が説く、敗北からの必笑(!)幸福指南。
島はぼくらと
辻村深月
定価:本体700円(税別)
夏の日の、あの子たちに会いに行こう。
瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の4人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、4人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
ミルキー
林真理子
定価:本体552円(税別)
恋とセックスのためなら女はどこまでもずるくなる。
《人妻とのつき合いは、いろいろな味をそのつど男に与える》。産休明けで諸橋陽子が職場復帰した。広告代理店に勤める奥村裕一は、妊娠前の陽子と数回関係をもっていた。子どもを産んで、以前より美しくなった彼女を、裕一は誘うが……。表題作「ミルキー」を含む、女の秘密がぎっしり詰まった12作の短篇集。
風のマジム
原田マハ
定価:本体590円(税別)
契約社員から女社長に!
ほんとうにあった夢物語。
風の酒を造りたい! まじむの事業計画は南大東島のサトウキビを使って、島の中でアグリコール・ラムを造るというものだ。持ち前の体当たり精神で島に渡り、工場には飛行場の跡地を借り受け、伝説の醸造家を口説き落として──。
海の見える街
畑野智美
定価:本体670円(税別)
あらゆる恋愛は、奇跡だ。
海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。10年も片想いだった相手に失恋した7月、1年契約の職員の春香がやってきた。本に興味もなく、周囲とぶつかる彼女に振り回される日々。けれど、海の色と季節の変化とともに彼の日常も変わり始める。注目作家が繊細な筆致で描く、大人のための恋愛小説。
祈りの幕が下りる時
東野圭吾
定価:本体780円(税別)
悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繫がっていた。
イヤミス短篇集
真梨幸子
定価:本体680円(税別)
他人の不幸は、クセになる。
小学生の頃のクラスメイトからかかってきた一本の電話。「覚えている? 会おうって約束したこと」。その声から蘇る、憧れだった美少女の顔。それはノストラダムスが人類滅亡を予言した1999年7月の出来事だった(「一九九九年の同窓会」より)。他人の不幸は蜜の味。甘い6篇が詰まった著者初の短篇集。
国境の南、太陽の西
村上春樹
定価:本体530円(税別)
突然現われた女の横顔に動揺した僕は──。
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう──たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて──。日常に潜む不安をみずみずしく描く。
殺人出産
村田沙耶香
定価:本体520円(税別)
10人産んだら、1人殺せる。
今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には10代で「産み人」となった姉がいた。蟬の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繫ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他3篇。
自分を好きになる方法
本谷有希子
定価:本体500円(税別)
ささやかな孤独と願いを抱えて生きる女とは。
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ三島賞受賞作。
パパの電話を待ちながら
ジャンニ・ロダーリ
定価:本体770円(税別)
ようこそ、「イタリアの宮澤賢治」ともいわれる名作家の世界へ。
ビアンキさんはイタリア中を旅するセールスマン。彼は、毎日9時きっかりに電話でお話を聞かせる約束を、娘としていました。ビアンキさんのお話には、びっくりキャラクターが数々登場。シュールな展開に吹き出し、平和の尊さに涙する、きらめく珠玉のショートショート! 20世紀イタリアの傑作童話。