幸腹な百貨店
食べて、働いて、
みんなで笑おう
中部事業部長となった高橋伝治は、以前店長をしていた堀内百貨店が閉店の危機にあることを知る。古巣のピンチに自ら乗り込んだ伝治だが、何でも「気合い」で乗り切ってきたバブル部長を若手店員たちは煙たがる。伝治は彼らと旨いお店で腹を割りつつ、お祭り復興に取り組む地元店主たちとも知り合って……。
よい匂いのする一夜
よい宿は何故よいのかを、
明晰に語る随筆集
よい伝統を引き継いで、奇跡のように残り続ける素晴らしい宿。激しい世相の変転の中で、変らないもてなしの心はどのようにして守られたのか。「旅」好きの著者が、日本各地とヨーロッパに、ゆかりの宿を再訪して、誇り高く、折り目正しい人々と出合う喜びの旅。
卵のふわふわ
八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
江戸に拡がる
暖かい煮炊きの煙
のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ――。夫との心のすれ違いに悩むのぶをいつも扶けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅、忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
彼女のこんだて帖
角田光代が贈る、
脳も舌も喜ぶ連作小説
長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために、肉汁たっぷりのラムステーキを! 仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、特効薬になった驚きのピザ、離婚回避のミートボールシチュウ――舌にも胃袋にも美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき連作短編小説集。
台所のおと
庶民の哀歓を写す
幸田文学の達成点
女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変わったことに気付く……音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。他、『雪もち』『食欲』『祝辞』など10編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。
幸福な食卓
吉川英治文学新人賞受賞作
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く
妻が椎茸だったころ
泉鏡花賞受賞作
亡き妻の残したレシピをもとに、椎茸と格闘する泰平は、料理教室に通うことにした。不在という存在をユーラモスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて、愛おしい」五つの偏愛短編集。
贅沢のススメ
目から鱗の
買収エンタテインメント!
落ち目になったカリスマシェフのイタリアン、職人の結束の綻びに揺れるオーダーシャツテーラー、強引な合併危機に瀕した老舗ホテル――。"高級"で売る業種をターゲットにした気鋭ファンドのボス藤浪と新人古武士は、「人を豊かにする贅沢」のみを買う。だが、窮地の企業を救う彼らの前に因縁の男が立ちはだかる。
村上龍料理小説集
快楽の料理人。
村上龍の32の掌編
料理をつくらない、しかし料理の真髄を知悉している料理人――村上龍。ニューヨーク・パリ・ウィーン・リオ・ローマそして東京etc.を舞台に、男たちとは人生の懊悩を語りあい、女たちとは悦楽を分かちあうそのテーブルにこそふさわしい32の掌編小説をお届けしましょう。今宵あなたが選ぶのはどちらのレシピ!?