講談社文庫

□2016年04月号目次

誕生日(バースデー)サプライズ

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ご受賞おめでとうございます。受賞に対しての率直なお気持ちと、『東京零年』という作品に込めた思いをお聞かせください。

赤川

 まず選考に当られた方への御礼を申し上げたいと思います。選考会のあった日は二月の二十九日です。その日は私の六十八歳の誕生日でした。四年に一度ということで担当編集者が集まりまして御祝いの会をしてくださって、その最中に講談社から受賞の知らせを受け取りました。本当に素晴らしい誕生日プレゼントを頂戴したという気分です。

『東京零年』は二〇一二年から二〇一四年にかけて、ほぼ二年半に亘って「すばる」に連載した小説です。書き始めたときは近未来小説だったんですが、書いているうちにだんだん現実が小説のほうに追いついてきまして、本になったときにはほとんど今の日本を書いているようだと、いろいろな方から言われました。いいことではなくてあまり良くないことで現実が追いついてきたので私としてはちょっと複雑な気分ではあります。

 この小説は報道や思想の自由が完全に国に管理されて国民の行動がすべて国から監視されるという世の中で、普通に生きている若者たちがどう生きていくか、どういうふうにそういう世の中を変えていけばいいか、そんなことを若い人たちに伝えたいと思って書いた作品です。

物語に夢中。「講談社文庫 春の100冊」限定ブルーなしおりをぷれぜんと!

続きはIN★POCKET 2016年04月号をご覧ください

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