講談社文庫

「ローカル線で行こう!」真保裕一

祝 デビュー25周年

祝 デビュー25周年「ローカル線で行こう!」真保裕一
真保裕一インタビュー
  • 聞き手/細谷正充
  • 構成/松木 淳
  • 写真/村田克己(人物)
──
真保さんは、多彩なテイストの作品を世に送り出しています。〝「行こう!」シリーズ〟はミステリーではないけどミステリーフレーバーを加えたエンターテインメント小説で、やはりこれまでの作品とは異なる作風になっています。
真保
「行こう!」シリーズ〟の1作目『デパートへ行こう!』(2009年・講談社)は、百貨店で一夜に起こるさまざまな出来事を書くつもりだったので書き下ろしでやりたいと思っていたんです。連載だと途中でつじつまが合わなくなるおそれがあったから。たまたま講談社の創業百周年記念書き下ろし企画というのがあって、それに書かせていただきました。まず大きな紙に時系列に沿って、誰がどのフロアにいて何をしたのかということをみっちり書き込んで、これを作るのに1ヵ月かかりました。あとは一気に書き上げましたけど。2作目の『ローカル線で行こう!』(2013年・講談社)は母親の実家の最寄り駅が無人駅だったことを思い出したのが執筆のきっかけです。『デパート~』は家族の再生がテーマでしたが、『ローカル線~』では家族からさらに広げて地域の再生をテーマとしました。
──
最新刊がシリーズ3作目の『遊園地に行こう!』(2013年・講談社)になるわけですね。
真保
そうです。これも個人的な思い出で、私が子どものころに住んでいた団地の隣町に遊園地があったんです。もう歩いていける所に。親に連れていってもらったこともありましたし、夜こっそりと忍び込んだこともありました。じつは『発火点』(2002年・講談社)の主人公がバイトしているのが遊園地で、自分の思い出をちりばめて書いたんです。このとき、いつか遊園地そのものを舞台にした小説を書きたいなと思いました。それが実現したというわけです。
──
〝「行こう!」シリーズ〟の作風について、読者の反応はいかがですか?
真保
どの作品も自分が面白いと思ったことをテーマに選んでいるので、とうぜん読者にも「面白かった」「楽しかった」といっていただきたいと思って書いています。ところがこれまで多くあった感想は「よく調べましたね」です。そこを感心してもらいたくって書いているんじゃないんだけどなあ(笑)。その点〝「行こう!」シリーズ〟は「面白かった」「楽しかった」という声を聞かせてもらっているので、たいへんうれしく思っています。
──
〝「行こう!」シリーズ〟の今後も含めて、真保さんのご活躍を期待します。本日はありがとうございました。
真保
こちらこそありがとうございました。〝「行こう!」シリーズ〟を続けるのかどうかはまだわかりませんが、ただ「再生物語」である以外は、何も縛りがないのがこのシリーズです。つまり、タイトルに「行こう!」をつければ何でもアリ(笑)。そうだなあ、スポーツものは売れないからっていつも編集者に却下されるから、「行こう!」をタイトルにつければ書かせてもらえるかも。『スタジアムへ行こう!』なんてちょっといいと思いませんか?
IN★POCKET 5月号より抜粋
真保裕一 著作年譜1991─2002 真保裕一 著作年譜2003─2016
真保裕一 著作年譜1991─1996 真保裕一 著作年譜1997─2002 真保裕一 著作年譜2003─2010 真保裕一 著作年譜2010─2016
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