もうひとつのあとがき

■マイペースで生きる
植西聰

 最近、「がんばりすぎ」のために体調を崩したり、あるいは心の健康を害してしまう人たちがたくさんいます。

 実際に、最近も新聞やテレビでは、「がんばりすぎが原因で、精神的に追い込まれて自殺に至った」という出来事が報道されました。

 私の周辺にも、がんばりすぎが祟って、うつ病となって休職しなければならなくなった人がいます。

 そういうタイプの人たちは、責任感が強く、誠実で、まじめな性格の持ち主が多いようです。

 彼らは、たとえば、仕事では上司や取引先の期待に応えようと、一生懸命になってがんばります。

 また、プライベートでも、自分の願望を叶えようとがんばります。

 もちろん、そのようにがんばることには、とても大きな意義があります。

 しかし、自分自身が持っている能力以上に「がんばりすぎ」てしまえば、かえって、周りの人たちの期待に応えられなくなります。

 そのために自己実現できなくなってしまうのです。

 がんばりすぎてしまえば、そのために心身の健康を害して、自分自身がつぶれてしまうことになるからです。

 従って、自分のペースを守りながら、自分らしく生きていくことが、人間にとってもっとも幸せだという点に気づいてほしいと思います。

 がんばることが「楽しい」と思える時は、心身ともに健康である証しです。

 しかし、がんばることが「苦しい」と思えてきた時には、「がんばりすぎている自分」に少しブレーキをかけるほうが良いのです。

 大切なことは、「がんばらない生き方」を身につけている人が、もっとも逞しく、この人生を生きていける人だと理解することです。

 私は、人々に、がんばりすぎて自分がつぶれてしまうという残念な結果になってほしくないという理由から、本書を執筆しました。

 読者の方々におかれましては、本書を読むことによって、少しでも気持ちが楽になることを願っています。

「80パーセント主義」なら、人生うまくいく!

植西聰

東京都生まれ。著述家。人生論を研究し、1995年、「産業カウンセラー」の資格を取得。近著に『「水」のように生きる』(ダイヤモンド社)など

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