講談社文庫

『涙香迷宮』で第17回本格ミステリ大賞受賞

竹本健治

「ウロボロス」シリーズ三部作、連続刊行!

綾辻行人、島田荘司、笠井潔、京極夏彦、麻耶雄嵩etc…… ミステリ界を彩る豪華キャストが実名で登場する疑似推理小説(ルビ:ミステロイド)の頂点!

竹本健治

若いころの自分(たち)が実名・等身大で登場するのは愉しくもあり面映ゆくもあり、当時のあれこれが思い出されて懐かしくもあるのですが、それはさておくとしても──。「偽書」はやはり、竹本さんの代表作のひとつに数えられるべき傑作だと思うのです。必読、でしょう。

綾辻行人

私の学生時代一番の夢は、いつか自分が『ウロボロス』に出るような作家になることでした。

辻村深月
第1弾
ウロボロスの偽書(上) ウロボロスの偽書(下)

新装版 ウロボロスの偽書
(上)(下)

 竹本健治の連載ミステリに、ひそかに忍び込む残虐非道な殺人鬼の手記。連載が回を重ねるにつれ、虚構と現実は、妖しくも過激に混迷の度を深める。竹本健治、綾辻行人、友成純一、新保博久、島田荘司……。ミステリ界を彩る豪華キャストが実名で登場、迷宮譚に花を添える。『匵の中の失楽』と並び賞される傑作。

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第2弾
ウロボロスの基礎論(上) ウロボロスの基礎論(下)

ウロボロスの基礎論
(上)(下)

実在のミステリ作家らを襲う奇妙奇天烈な“うんこ事件”。竹本健治の連載ミステリに混入する眩暈と戦慄の物語。綾辻行人、小野不由美、笠井潔、新保博久、法月綸太郎、麻耶雄嵩、山口雅也が推理合戦を展開、小説ジャックまで強行される。物語中に有名作家が突如原稿を混入し、謎は深まる一方。世界は擾乱され朦朧胡乱の淵に転落した。

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第3弾
ウロボロスの純正音律(上) ウロボロスの純正音律(下)

ウロボロスの純正音律
(上)(下)

6月14日発売

長編マンガの描き下ろしの依頼を受け、竹本は古びた洋館“玲瓏館(れいろうかん)”の一室を借りて作業を開始した。怪しげな使用人たち、アシスタント陣、館に集まった錚々(そうそう)たるミステリ作家・評論家・編集者たちの面前で、突然『モルグ街の殺人』見立ての殺人事件が発生する。一同は早速推理合戦を開始するがーー傑作実名推理小説(ミステロイド)。

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連続刊行記念スペシャル 竹本健治VS.編集部 対局インタビュー「ミステリの名人に聞く」 先手-黒●編集部 後手-白○竹本健治

「『ウロボロス』三部作」編

ウロボロス三部作の文庫化おめでとうございます! 実在作家がキャラ化して登場する点は、『文豪ストレイドッグス』の先駆けだと言っても過言じゃないですね。ぜひ着想のきっかけを教えてください!

僕はマンガ家志望のまま突然作家になってしまったのですが、そのマンガの世界では、自分を含めたまわりの人間をそのまま登場させてちょっとした作品に仕上げるというのは常套的に行なわれていることなので、その種の発想は僕のなかで、もともとごく自然なものとしてあったと思います。現に僕のデビュー作となった『匣の中の失楽』の原形となる小説が、そもそも周囲の友人をモデルにした実名小説でしたし。

実名小説の魅力とはなんでしょうか?

書く側にとっては、実在の人間を思い通りに操るというのはやっぱり面白いですよ。それと同時に、なるべく本人ぽくリアルに描くのも腕の見せどころなので、そういう点でも燃えますし。最近「本人が言いそうもないことを言うモノマネ」というのが流行ってますが、ちょっとそれに近い感覚かも。

ご自身が主役という点も驚きでした。正直なところ執筆に抵抗はありましたか?

さっきも言ったようにマンガモードの延長だったので、書いてる最中はあまり抵抗はなかったのですが、時期を置いて読み返すとちょっと気恥ずかしいというのはありましたね。

長大な三部作となりましたが、これは一作目から狙っていたのでしょうか?

『偽書』のときにはそういうつもりはなかったのですが、そのあとがきにも書いたように、どうせならこの人も使いたかったな、あの人も使えばこんなことができたのに、なんて想いがどんどん強まってきて、結局『基礎論』を書くに至りました。そして『偽書』が三つの話が絡まる話、『基礎論』が二つの話が絡まる話なので、もう一本、一つの話だけで思いきり異形なものを書いて三部作にしようと。ですのでいちおう『純正音律』で打ち止めですが、 もしかして話がゼロで一本仕上げる方法を思いついたら、いつか『ウロボロス・ゼロ』を書くかも知れません(笑)。

バラエティ豊かなキャラたちが登場しますが、執筆時に原稿内で思わぬ発言をしたり、勝手な行動をするなんてことは?

それはもう大いにありました。というか、予定外のところでもここでこう動くほうが面白いよなと、どんどんアドリブっぽく気儘に動いてもらうのですが、あとでその尻拭いに苦労させられることの連続でしたね。

『偽書』は1988年、『基礎論』は1993年、『純正音律』は1997年が舞台となっていますが、作品をあらためて振り返ってみて、いかがでしたか?

今回のゲラ直しで久びさに全巻通して読み返したわけですが、ああそういえばこういうことがあったな、こんなこともあったなと、懐かしさに襲われることしきりでした。それは何も僕個人に限ったことではなく、時期的に「新本格」自体の黎明期から青春期までに重なる恰好になっているので、そういう意味からも懐かしさが上乗せされているような気がします。

三部作それぞれでお気に入りのキャラを、作家中心にあげてもらっていいですか?

『偽書』では猪口奴(実は彼女にもモデルがいます)と島田荘司さん。『基礎論』では綾辻行人君と笠井潔さん。『純正音律』では京極夏彦さん、福井健太君、千街晶之君かな。

この続きは『IN★POCKET 』2018年04号でお楽しみ下さい。


PROFILE
竹本健治

竹本健治(たけもと・けんじ)

1954年兵庫県生まれ。東洋大学文学部哲学科在学中にデビュー作『匣の中の失楽』を伝説の探偵小説専門誌「幻影城」に連載、’78年に幻影城より刊行されるや否や、「アンチミステリの傑作」とミステリファンから絶賛される。以来、ミステリ、SF、ホラーと幅広いジャンルの作品を発表。天才囲碁棋士・牧場智久が活躍するシリーズは、’80年~’81年のゲーム三部作(『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』)を皮切りに『このミステリーがすごい! 2017年版国内編』第1位に選ばれた『涙香迷宮』まで続く代表作となっている。

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