講談社文庫

シスリー姉さんの月光相談室 あなたの悩みに答えます

───電子書籍になじめません……。

q.最近老眼なのか文字が見えづらく、本を読むのもしんどくなってきました。
 そこで娘が電子書籍を勧め、タブレットPCというものを買ってきてくれたのですが、どうもしっくりきません。娘に相談すると昔の人間はこれだから、と呆れられてしまいました。電子書籍だとなんだか味気ないし、本は紙のページをぱらぱらめくって読むのがいいのですが、もう時代遅れなのでしょうか。少し寂しい気持ちです。   (50代 男性 鶴眼鏡)

a.鶴眼鏡さん、電子書籍になじめず、紙の本への愛着を口にされる方は、あなただけではありませんよ。そのことで自分は「時代遅れ」なのだと思うと、寂しくもなりますよね。しかし、少し角度を変えて考えてみては如何でしょう。50代のあなたは、生まれたときには、電子書籍というものは存在しませんでしたね。つまり、人生の途中で初めてそれに出会った、時代の目撃者となり得たのです。これから生まれてくる人は、物心つく頃には、タブレット等で本を読む人がいることを、なんら不思議に思うことなく、「生まれたときからあったもの」として受け止めるでしょう。でも、あなたは違う。まるで知らずに生涯を終えた人とも、生まれたときからそれを知っている人とも違う感慨を味わった、貴重な存在なのです。歴史の証人として、誇りに思いつつ、自分の感覚を慈しみましょう。でも、老眼のお父様のためにすかさずタブレットPCを買ってきてくれる娘さん、お優しいですね。こちらも、あなたにとってとても貴重な存在ですね!

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シスリー姉さん
シスリー姉さん
東直子氏の小説『らいほうさんの場所』(講談社文庫)の主人公志津が、占い師として名乗る名前。作品中でシスリー姉さんこと志津は、「生まれ月別運勢占い」をweb上で毎週更新している。自分の心の内側からふいに浮かんでくる言葉で悩み事に答えるのが、シスリー姉さん流
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