講談社文庫

□2015年3月号目次

シリーズ創作のきっかけ

―「探偵の探偵」シリーズもパート3が発売され、ますます佳境に入ってきましたが、まずこのシリーズをお書きになろうとしたきっかけを伺えますか。

松岡 私のデビュー作は『催眠』という作品です。あの作品のテーマは、臨床心理士と催眠術師の対立を描くことで、その職業を浮かび上がらせることでした。つまり臨床心理士の職業上のモラルや規則を遵守していく姿勢、コンプライアンスが焦点でした。職業ものを書かれる方は、医療ものでも警察ものでも、みな基本的にコンプライアンスを説いていて、その部分が核になっています。これまでは作中で探偵役を務めるキャラクターを、何らかの職業に置きかえて書いてきましたが、主人公の職業は探偵であると、はっきりしたほうが読者に伝わるのではないかと考えを改めまして、本書を書くにあたって本当の探偵を調べてみようと思い取材を行ないました。

―探偵という業種にはこれまで何も制約がありませんでしたが、ようやく平成一九年六月に探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)が施行されましたね。

松岡 この法律ができてから、消費者の苦情が凄く多くなったそうです。公安委員会から業務停止命令をくらう業者が毎年複数出るくらいで、消費者センター的なものを設けようという話もあるようです。そういう問題が明るみに出るようになったのなら、『催眠』で使った、職業を悪用する俗物的な存在と、本当の職業人との対立の間で、コンプライアンスを浮かび上がらせる手法を探偵にも用いれば、悪徳探偵に対抗する探偵、探偵の探偵という新しいテーマで描けるのではないかと思いました。

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