Q. その言葉使いはおかしいのでは、と度々気になることがあります。でも、それを相手に面と向かって言ってもいいものでしょうか? 私は国語学者でもマナーの先生でもありませんから、気が引けるのです。しかし、接客業の人がお客の私に「なるほどですね」と言ったり、「Aさんはこっちでよろしいです?」と、?か?を省略して疑問形の聞き方をする人にイラッとするのです。「お食べください」とか「よろしかったですか」とか、変な言葉で応対されると、すごくイヤなんです。これは年寄りの繰り言でしょうか……。
(70代 女性 マチ子)

A. マチ子さん、お気持ちお察しいたします。言葉の時代による変化を受け入れるのか、あくまでも抗って、正しい日本語の維持につとめるのか、今、岐路に立たされているともいえます。最後まで美しい日本語を背負った女性として君臨するか、時の流れに身を任せ、言葉の変化を受け入れてしまうのか。
 言葉は、一人一人の生きている身体が使うことで、命を得ます。言葉の繊細な言い回しに気付くことのできるマチ子さんには、なるべくたくさんの人と、命の対話を楽しんでいただきたいです。全国津々浦々を旅しながら、さまざまな老若男女と会話をするのです。今どきの言葉を使う若者もいれば、古式ゆかしき日本語を使う人生の達人もおられるでしょう。また、それぞれの地方の豊かすぎる言葉に、ときどき意味がとれないこともあるかと思います。でも、そのとき正確に意味がわからなくても、その人の表情や声のトーンなどで、どういうことを自分に伝えようとしているかは、なんとなくわかったりするものです。
 そんな、会話修行の旅から帰ってから、今後どのように言葉と向き合っていくのかの判断をされても、遅くはないと思いますよ。

シスリー
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