Q. 会社の同僚の謎の行動が、不気味です。隣の席の同世代の同僚は、会社にやってくるとしばらく(30分くらい)の間何もせずにじっと座っていて、やっと仕事を始めたかと思うと何かを指折り数えながら手帳を見ていたりします(こちらもじっくり30分くらい)。さらに、ペンとか携帯のデスク上の置き場も、毎日寸分狂わず同じでないと気が済まないみたいで、いったい何の儀式をしているのやら……。その間、とても話しかけられない鬼気迫る感じで、僕からは理由が聞けません。でも気になって仕事の手が止まってしまうのですが、どうすれば良いでしょう。
(40代 男性 ツナ男)

A. ツナ男さん、何かを指折り数えながら手帳を真剣に見る動作には、私も覚えがあります。その方は間違いなく、俳句、あるいは短歌などの定型詩を呻吟されているのです。それが「儀式」に見えてしまうほど「鬼気迫る感じ」であるという報告から、非常に真剣に取り組まれていることが伝わります。

 平安時代には「歌合」といって、同じ題で違う作者が和歌を詠み、優劣を競う試合が執り行われていました。敗者の中に自殺者も出たほどの、厳しい試合だったそうです。その同僚の方は、そういった真剣試合の流れを汲む場に出るための作品を考えている可能性があります。

 職場で別の場のことに没頭している点に関しては、やや問題も感じますが、末代まで語り継がれるような大傑作を産み出している瞬間である可能性も、ないわけではありません。助産師のような心で見守りつつ、集中力を損なわぬよう、おだやかに無視してさしあげるとよろしいでしょう。

シスリー
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